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入管法改正案を批判する
これ以上、改悪してどうするのか!
出入国管理及び難民認定法(入管法)の改正が進んでいる。ここではこれを「改定」と呼ぶ。この改定案は令和2年(2020年)6月にまとめられた「収容・送還に関する専門部会」(第7次出入国管理政策懇談会)の報告書に基づく。来年(令和3年/2021年)の通常国会への提出に向けて具体的な内容を詰めている。
改定が必要な大きな理由は入管法違反者の長期収容に対する国連の度重なる改善通達を受けたものだと思う。しかし改定案の内容は人権を軽視したものとなっている。それをこの報告書は表している。
まず法改定の目玉は送還忌避者の早期送還である。「長期収容が駄目ならさっさと帰しちまえばいいんだろう」という考えである。帰国すると命の危険にさらされる難民も、日本に家族がいる、例えば日本で生まれて日本語しかできない子どもがいる人など、十把一絡げに帰してしまおうという考え方である。また、ハンガーストライキによる餓死や自殺も問題視している。
送還・出国者数は近年、伸びている。これは入国管理局(入管)の取り締まりが厳しくなり、長期収容に耐えられなくなって帰国したもの、また、2013年6月よりチャーター便による集団国費送還が始まったことと関連する。中には強制的・暴力的に帰国させようとすることもあった。裁判にもなっている。国が勝訴している。人を殺したのに。
2020年11月7日付け朝日新聞朝刊一面では、「一定の条件のもとでは施設外で生活できる「監理措置」(仮称)を導入し収容の短期化を目指す」と報じられている。「監理人」(仮称)として認めた支援団体等のもとで生活する。ただ、逃亡に罰則を付けている。善意の監理人が法違反に問われる可能性のあるこの改定に反対する。
昨日(2020年11月11日)のNHK『クローズアップ現代』でも取り上げられたが、当番組ではフリップで「法改正議論のポイント」として「1.収容に代わる制度の創設」「2.在留特別許可の明文化適正化」「3.送還拒否者らに刑事罰導入」「4.難民認定の複数回申請者送還可能に」となっていた。「1」は「監理措置」のことである。
「2」についてはガイドラインの改訂のことだと思われるが、10年以上そのままにしていたガイドラインは時代に合わせて見直すべきである。しかし私は悪く改訂されることを怖れる。柔軟な対応ができるのであれば、ガイドラインは今のままでいいと思う。
「3」はそもそも、外国人の逮捕・収容と刑事事件については、すべて平等に日本の刑法と刑事訴訟法を適用して裁判を受ける権利を保障すべきであり、それもせず、送還を拒否しただけで刑事罰といったことがなされてよいのだろうか。また、裁判準備中に退去強制されてしまった事例もあると聞く。この国の外国人には裁判を受ける権利がないのか。
「4」はノン・ルフ―ルマン原則違反であり、明らかな国際法違反である。
こういったことが粛々と行われている。我々国民にはそれを知る権利がある。その実態はなかなかメディアには現れない。2020年9月28日の東京新聞社説が取り上げている。
昨日の『クローズアップ現代』は涙なくして見れないものだった。私は彼ら彼女らを助ける職業なので泣いている場合ではなかったが、思わず目が潤んだ。しかし冷静に考え行動しなければならない。
ここで悲惨な事例をひとつひとつ紹介している時間はない。それは読書やネットで知ってほしい。まずは関心をもってほしい。
この国の現実を。