なぎさ和楽苑における落語会2025.1.18

16年ぶりに演じる『刻うどん』

本日2025年(令和7年)1月18日(土)午前9時半に見台、膝隠し、着物、座布団などを妻と手分けしてかつぎ、西葛西駅前のタクシー乗り場へ。向かう先は社会福祉法人東京栄和会・特別養護老人ホーム「なぎさ和楽苑」。2020年よりここで上方落語をするボランティアをしていることはご存知のとおりです。

最初は新型コロナウイルスのため動画撮影だったのですが去年(2024年)4月の「お花見落語会」以来、ライブでできるようになりました。録画と違いライブはお客さんとのキャッチボールができるのでやりやすい。今日もマクラでお客さんに語り掛けると、あれこれしゃべりだすおばあちゃんとおじいちゃんがおられ、「ここに上がってしゃべります?」と笑わせました。「私の話よりあなたの話のほうがおもしろい」と。

『刻うどん』というのは短い演目なのでマクラ(落語の前にやるお話)を入念にやりました。時間にしますとマクラ15分、落語15分。何のマクラをどういう順番でやったかというとよく覚えていません。とにかくほとんど準備せずぶっつけ本番でしたから。プロと違い本業があるので忙しい。

「おかしなのが出てきましたが決して怪しいものではありません」でおばあちゃんを中心にどっとウケる。女性はよく笑うから助かる。だから長生きする。客層はやはり女性中心。デイサービスでお風呂に入りに来た人ばかり。入居者とデイの方を一緒にするとインフルエンザやコロナ感染の危険性があるらしい。入居者向けにはまた改めてやりたいと思います。

注:妻の話によるとデイと入居者を完全に分けるのではなく、症状の軽い入居者はデイの人と一緒に落語を聴いていたそうです。

江戸川区出身者が多いようなので大相撲の翔猿の話。拍手が来た。そして江戸川総合人生大学の北野大(まさる)学長(北野武さんの実兄)の陰毛が真っ白な話。「男も80超えると陰毛が真っ白なんですね」でおばあちゃんもおじいちゃんもゲラゲラ。ここで大学の卒業生だという女性が口をはさむ。私も卒業生ですと言うと「あなたは私の後輩よ」とツマミのお菓子をくれた。「こんなんなんぼあっても困らへんさかいねえ」ゆうて。



私の関西弁がおかしいらしく「私も大阪出身やねん」とか言い出すおばあちゃん。で、大阪生まれの神戸育ちだと。落研で老人ホームによく行ったけどお年寄りを笑わすことばっかり考えてたという反省話。そんな80も90にもなったお年寄りがアマチュアの二十歳ぐらいの学生の落語でそんな簡単に笑うかいなと。そんなことよりお年寄りひとりひとりと握手すればよかったという。

ここで美空ひばりさんの『川の流れのように』をいきなり歌いだす。「みなさんもご一緒に」と大合唱になる。美空ひばりはお年寄り、男性であれ女性であれみんな大好き。絶対に外さない「鉄板ネタ」です。

そして『刻うどん』に向けて「日本三大うどん」の話。まず香川県の讃岐うどんの話。ここで「うどん県」香川の実情を紹介。「讃岐うどんおいしいわね」と声がかかる。老人ホームで落語をやる場合、ただ笑わせればいいというものではないのです。脳トレです。

そして秋田県の稲庭うどん。知り合いの秋田県出身の人に電話したら「知らん」と言われた話。長崎県の五島うどん。これはうどんと言うより素麺だと。以上をもって「日本三大うどん」と言われるのですが諸説あり、五島の代わりに「いや、群馬県の水沢うどんだ」とか「愛知県のきしめんだ」とか。きしめんはきしめんでありうどんちゃうやろと。

そして落語に入ったのかな。

この動画はオチの部分です。



ああ、江戸落語が聴きたい人は五代目柳家小さんの『時そば』を聴いてくださいともゆうたなあ。江戸の『時そば』と上方の『刻うどん』の違いをさらっと。上方ネタを数多く江戸に移植し工夫をこらした三代目柳家小さん(明治期を中心に活躍した名人)が江戸落語に移植したんだと。「へえ~」と。

五代目小さん 『時そば』



上方落語 『刻うどん』 笑福亭福笑

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