第10回林家きよ彦独演会

2025.2.14林家きよ彦さん独演会

2025年2月14日(金)夜、日暮里サニーホールで第10回林家きよ彦独演会が行われ、聴きに行ってきました。この日は私自身、午後2時半より老人ホームで落語をやってきており、帰って1時間仕事をしてまた出かけるというハードスケジュールでした。

自分が落語をやるのと違い、他人が落語をやるのを聴くというのは気楽なもんで。ただ笑ってりゃいいという。誰の落語会でもそうなのですが、木戸銭払った以上に笑わなきゃ損だという関西人で。

まず「おしゃべり」があるんですね。きよ彦さんのスタイルは着物に羽織、足袋に雪駄姿で立ったまま、うろうろしながら日常のあれやこれやをしゃべる。これがおもしろい。観客にスイッチを入れさすのがうまい。



最初の落語は『35才の恋』という比較的、最近、作ったと思われる新作落語で。相変わらず起承転結の「転」の部分であっと言わす見事な出来栄えで。オチも秀逸。この演目ははじめて聴きました。

次に何をやるのかと思ったらなんと古典の『牛ほめ』。『牛ほめ』は覚えるのが難しい演目で、私もチャレンジしたことがあるのですが、「労多くしてなんとか」というか違うネタにチェンジしたことがあります。きよ彦さんは新作落語の人なので古典はあまりやらない。稽古不足だったのかボロボロで、でもそれを逆に笑いに変えていました。

そして『釣女』。この演目は歌舞伎や能狂言や文楽にあるものを改作というか新作として仕立て直したもので、前半は聴いたことが一度だけあります。その続編を作ってほしいという依頼があり作ったらしいのですが、「いっそフルバージョンでやれ」という話になり、今回、幸運にも聴くことができました。

なんていうのかなあ。終盤でちょっと涙ぐんだ。私は収入も少ないくせにホステスさんのいる店に行くのが趣味なんですが、もっと妻を大事にしようみたいな。太郎冠者(たろうかじゃ)は醜女(しこめ)の妻を釣り上げ弁天様に妻の交換を願い出るわけですが、気が変わり、妻を一生大事にしようと思うわけです。そこに感動しました。

この噺は笑いは少なくていいと思います。夫婦の情愛を描いた人情噺として十分通用すると思います。

ということで帰りはガールズバーへは行かずまっすぐ帰って妻と湯豆腐を食ってビールを飲んできよ彦さんの話をしました。
 

PAGE TOP